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  • 柳宗悦と古丹波

  • 日本民藝館

  • 2019.9.10 - 2019.11.24

自然釉甕 鎌倉時代 高42.8㎝

「最も日本らしき品、渋さの極みを語る品、貧しさの冨を示す品」( 『丹波の古陶』1956年)、日本民藝館 創設者・柳宗悦(1889〜1961)は晩年、古丹波についてそう評している。日本六古窯のひとつに数えられ、一部の茶陶はすでに名声を博していた丹波焼だが、柳の眼差しは、それまで粗雑な品として顧みられていなかった日常の器に向けられた。

 

柳は関東大震災の直後、1924年に京都に移り住んだ。
この時期、朝市で当時「下手物(げてもの)」と呼ばれていた、日常雑器の蒐集に励んだ。
丹波焼へ関心が芽生えたのも、その頃のことだ。
日本民藝館の設立を宣言した『日本民藝美術館設立趣意書』(1926年)の発表から間もない1927年1月、丹波布の調査の為に初めて兵庫・篠山を訪れた柳は、道具商の尚古堂(しょうこどう)で丹波焼を見る機会を得て、後には立杭の窯場へも足を運んだ。

当初江戸時代以降に発達した流釉や筒描の品に心惹かれていた柳は、『雑器の美』(1927年)の挿絵に、京都で入手した流釉の蝋燭徳利を取り上げた。

白掛黒流蝋燭徳利 江戸時代末期 高15.7㎝

三筋壺 平安時代末期 高25.5㎝ 丹波古陶館蔵

各地での蒐集や執筆活動に明け暮れていた1938年、柳は河井 寬次郎(1890〜1966)や濱田 庄司(1894〜1978)らと大阪の阪急百貨店での尚古堂主催「丹波古陶の名品会」へ赴き、そこに出品された品々に改めて驚嘆することとなる。

白地筒描網目文皿 江戸時代後期 径25.4㎝ 丹波古陶館蔵

白地墨流茶碗 江戸時代後期 高8.8㎝ 丹波古陶館蔵

その後、中世期の穴窯時代に見られる、薪木の灰が焼物の上に降りかかり自然釉となる灰被(はいかづき)に、人の作為の及ばない「他力美」を見いだし「品物に驚くべき美しさを与えている」と称賛の言葉を残した。灰被との出会いで丹波焼への敬愛の念を強くした柳は、以降も蒐集に邁進していく。

白掛水滴 江戸時代後期 高7.5㎝

赤土部釉黒流魚文甕 江戸時代中期 高20.4㎝


日本民藝館では、民藝運動の初期から、盛んに灰被の品が蒐集された柳の晩年までの、300点を超える丹波焼を所蔵している。

日本民藝館の日本陶磁器コレクションの中核を担うこの蒐集は、尚古堂の店主でのちの丹波古陶館初代館長・中西幸一(1896〜1969)と通(1932〜2003)の親子二代にわたる厚誼がなければ成しえないものだった。

 

柳は「この蒐集の成長は、やがて私自身の心の成長でもあった」と振り返っている。

丹波窯の長い歴史の中からは、甕や徳利、皿など日常で用いる為の豊富な器形が生まれた。そして自然釉を始め、登窯(蛇窯)が導入された近世以降の赤土部釉を施したものや、江戸時代後期に開発された流釉・筒描(いっちん)・墨流・線彫そして白掛などの技法により、多様な表情が出現したことも大きな特徴だ。

本展では、日本民藝館が所蔵する丹波焼コレクションの中から約100点、さらには今年開館50周年を迎えた丹波古陶館の優品約50点を併せ一堂に展観し、古丹波の魅力に迫る。

出品協力:丹波古陶館(記載がないものは日本民藝館蔵)

information
展覧会名:柳宗悦と古丹波
会場:日本民藝館
会期 2019年9月10日(Tue)~11月24日(Sun)
開館時間 : 10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)
入場料一般 1,100円 大高生 600円 中小生 200円
URLhttp://mingeikan.or.jp/

 

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