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2024
COLUMN - EDITOR
Nov. 04, 2020
秋の昼夜にアートを巡る
「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2020」
NAOMI KAKIUCHI/KAMADO CHIEF EDITOR
今年で11回目となる「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」。
神戸・六甲山上を舞台に、野外などで数々のアート作品を楽しめる現代アートの野外展覧会だ。
12の施設を会場に、国内外から過去最大44組のアーティストが出展している。
今回、10/17(土)よりスタートした『ザ・ナイトミュージアム〜夜の芸術散歩〜』も含めて、行ってきた。
マップを元に作品を紹介していきます!
六甲ケーブルで、六甲山上駅へ。
ここには、ドイツ・ブレーメンで活動するアーティスト8組が展示をしている。ドローイング・版画・刺繍・映像などの作品はドイツより届いたもの。事前の細かいやりとりなどで会場を理解した上で作品が創られ、インストールは現地の作家たちに託された。
コロナの影響で叶わずだったが、本来なら会期スタート後にアーティストが来日し、オンラインでインストールした作品と実際の作品を見比べる予定だったそうだ。
スザンネ・カタリナ・ヴィラント《12,642 km Kobe/Bremen 12,642 km Bremen/Kobe》 。
神戸からブレーメンまでのハイキングマップを作品にしている。
刺繍で1針づつ縫われている。
待合室にはフランツィスカ・フォン・デン・ドリーシュの《無題(時間)》。
何かが起こりそうで何も起こらない映像がただただ流れている。
ヨハネス・エルマーの《レシピ》。
「文化は食べ物から」の考えの下に作られた作品。ドイツの主食サワードパンをモチーフにしている。
シュタイナッカー / ヴィラント《景色》。
各国の山のポストカードを上から撮影し、再構成したトラッキングアニメーションの作品。
《Grow in silence》中村 萌。
展示スペースには六甲山サイレンスリゾートのマスタープランを中心に、
ヒストリーと現在&未来の2つに分かれて展示されている。
完成予定図の木の模型も。
“阪神間モダニズム”を象徴する歴史的建造物である「旧六甲山ホテル」の旧館を修復し活用した施設「六甲山サイレンスリゾート」も今年から会場に追加となった。
今回の修復のみならず、全体のディレクションとして関わっているのは建築界の巨匠ミケーレ・デ・ルッキ氏。今後は隣接する森の中に土地のままを活かした円形型のホテルが建設される予定だそう。
《Grow in silence》中村 萌、作品展示の一部。
六甲山サイレンスリゾートには立体造形アーティストとして活躍している中村 萌氏を含めた4名の作家の作品が展示されている。
それぞれの部屋に作品の展示を観る事ができる。
木のぬくもりを感じる建築に、楠の丸太から掘り出し、油絵具で彩色した中村萌氏の作品。眺めていると、世界観に浸って、気持ちがゆるんでくるようだ。
《Grow in silence》中村 萌。
うつろな表情をした造形作品は本人を反映している。
《いきもののかたち》内田 望。
金属を金槌でたたいて形を作る「鍛金」の技法で主に動物や植物をモチーフにした作品を制作している。
動物の表情もそれぞれ。
六甲スカイヴィラを「活かす」そして、「イカす!」で六甲イカスヴィラに!
地元、神戸を拠点に活動する「C.A.P.」(特定非営利活動法人 芸術と計画会議)は、今回2010年12月以来遊休化していた5階建ての宿泊施設「六甲スカイヴィラ 迎賓館」一棟全体を作品展示スペースとしている。
海外からのリモートも含めアーティスト延べ約30名が参加しており、当時の趣を残した客室や廊下、屋外テラスでの作品展示、アーティストのグッズが買えるショップ、小さなくつろぎのスペースも用意されていた。
作家が在廊している事も多く、変化している作品もあり鑑賞者とアーティストが交流できる場にもなっている。
築山有城+櫻井類《スパイラル器官》
彫刻家・築山が合板の廃材をひたすら丸く切り抜き、それに画家・櫻井が絵を描いて階段室を全て使った作品群を完成させた。
完成後に2人でタイトルを一つ一つつけている。
Video Kaffe《Screen Breach》
アーティスト・池原悠太のTVモニターシステムを利用して
フィンランド、アメリカ、オランダの作家たちのパフォーマンスを上映。
《Monitor Ball》ver.Rokko / 山城 大督
限定公開となる「風の教会」。
今年のアーティストは気鋭の美術家・ 山城 大督氏。
空間に入ると、誰もが小声になる。無機質なコンクリートの空間に青空、水の波紋、緑の地面など六甲山で撮影された6つのバリエーションがある映像が順々に流れていく。
建築の空間と作品をじっくり堪能してほしい。
《Glow with Night Garden Project in Rokko 提灯行列ランドスケープ 2020》髙橋 匡太
10月17日からスタートした「ザ・ナイトミュージアム〜夜の芸術散歩〜」は、六甲オルゴールミュージアムと六甲高山植物園と六甲ガーデンテラスの3つの会場で楽しむことができる。
光や映像を使った作品を制作する髙橋 匡太氏の今回の作品は、鑑賞者が色の変化する提灯を持ち、園内に流れる音楽と光がシンクロする中を散策する。鑑賞者も作品の一つとして参加できるようになっている。
鑑賞者の揺れ動く提灯を眺め、散策していると現実の世界から離れた場所にいるような気分に…。
《アミツナグ》林 和音
自然界の営みや情景を発想の起点とし、紐や縄、
素材を編み繋ぎ立体構成したものを空間に展開するインスタレーション作品を発表。
《木霊》谷澤紗和子×藤野可織
作者は美術家と小説家のユニット。
六甲高山植物園の二本の印象的な木 「エノキ」と「マツ」が鑑賞者に語りかける作品。
ARアート 岡本 啓(有馬アートナイト)
今回、有馬温泉にもサテライト会場が登場!
六甲ミーツ・アートでは、3名のアーティストの作品を観ることができる。
街歩きが楽しい有馬温泉で、アートを探して歩く。
《戻れない、過去に浸る日もあっていい》木村 剛士。インターネット網の目状の構造を「道路」と呼び、そこで出会う多様な事物を作品化している。巨人が温泉に浸かっている。
松本かなこ氏は会期期間中、有馬に滞在しアートを描き続けている。ライブで観ることが出来るとラッキーだ。
泉源ライティングインスタレーション(有馬アートナイト)
また、同時期開催で10月17日(土)から「有馬アートナイト〜質量からの旅の追憶〜」もスタートした。
絵画手法で制作するアーティスト、岡本 啓氏と、中島 麦氏の2名が制作。だが会場に実物の作品はなく、泉源に色彩と光のインスタ
ARアート 中島 麦(有馬アートナイト)
スマホを片手にスポットへ行くと、画面に現れるアートは現実にあるその場所とマッチしている。
温泉とアートを楽しめるなんて、最高のイベントだ。
https://arima-artnight.jp/
※AR作品の鑑賞には専用アプリのダウンロードが必要です
久しぶりに旅に出た。冷たい空気を肌で感じ、息を吸い込み体の中にいれると鈍っていた感覚が少し動き出したような気になった。自然の中でアートを楽しむ、以前は当たり前に思っていたことがとても有難いことだった。
その場所でしか見る事の出来ない作品や景色はその時の自身の感情を強くインプットし、なにかしらにアウトプットしてくれるもの。
素直な感覚と、他視点を与えてくれるアートを、秋の昼夜に堪能してみてほしい。
近隣の方なら、丸1日。遠方の方はGO TO TRAVELを利用して1泊2日がいいのでは?
六甲ガーデンテラスから見た神戸の夜景
会期/2020年9月12日(土)~11月23日(月・祝)
開催時間/10:00~17:00
※会場により営業時間が異なります。17時以降も鑑賞できる作品があります
会場/六甲山上の観光施設など12会場、サテライト会場:有馬温泉エリア、サテライト展示:JR 新神戸駅
料金/6つの有料会場をお得に巡ることができる「鑑賞パスポート」:大人 2500円 / 小人 1000円
※大人(中学生以上)、小人(4歳から小学生) ※上記は当日パスポートの料金、税込表記