OUR ART IN
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  • ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展 『ストーリーはいつも不完全......』『色を想像する』【会期延長】

  • 東京オペラシティ アートギャラリー

  • 2021.4.17 - 2021.6.24

イギリスを代表するアーティスト、ライアン・ガンダーが当館収蔵品をキュレーションする異色の企画。当初予定していたガンダーの個展は新型コロナウイルス感染症を巡る情勢の急激な悪化、ことにイギリスにおけるロックダウンにより、やむなく開催を延期することとなった。これに伴いガンダーから「この状況で僕にできることはないだろうか」「収蔵品展のキュレーションはイギリスからできるのでは」と申し出があり、当初上階(4階)で予定していた「ガンダーが選ぶ収蔵品展」を全館で開催することとなった。

 

 

©Ryan Gander. Courtesy of TARO NASU Swan films / BBC, photo: Sam Anthony

コンセプチュアル・アートの新騎手として国際的に評価の高いガンダーは、日常生活のあれこれや、社会の仕組みなど、私たちが気に留めることすら忘れている物事をあらたな視点で観察し、解釈し、表現することについての第一人者といえる。その視点が当館の収蔵品に向けられたなら、私たちにとって新しい鑑賞体験になることだろう。

 

展覧会は3階、4階それぞれにテーマを設け、ふたつの企画として行う。4階の「色を想像する」では、当館収蔵品が故寺田小太郎 氏のプライベート・アイ・コレクションであるという成り立ちを踏まえて展示方法が工夫されている。

3階の「ストーリーはいつも 不完全……」では展覧会の常識をくつがえす「うす明かりの展示室内を懐中電灯で照らしながら作品を鑑賞する」という試みを行う。

「見る、そして想像する」ことをこれ以上なく意識させるライアン・ガンダーならではの展覧会。困難な状況でも冷静に考え、発想の転換でよりよいものにしようとするガンダーの姿勢は、私たちの作品鑑賞そして日常生活に新しい視点をもたらしてくれるだろう。

白髪一雄《貫流》1973 油彩,キャンバス photo: 早川宏一

二川幸夫《『日本の民家』簸川平野の農家 島根》1953-59 ゼラチンシルバープリント photo: 早川宏一

4階「色を想像する」Colours of the imagination

 

故寺田小太郎氏のプライベート・アイ・コレクションである当館収蔵品の成り立ちと、寺田氏が収集のテーマのひとつとしていた「ブラック&ホワイト」に呼応して、黒と白のみの世界を構成する。

 

展示方法にも一工夫が。欧米の美術館では、個人の邸宅における伝統的な美術品の飾り方にならって、大きな壁面の上下左右びっしりと作品を並べる 「サロン・スタイル」が採られていることがある。

 

寺田氏個人の視点で集められ当館コレクションの特徴を踏まえ、作品はこの「サロン・スタイル」で展示される。

3階「ストーリーはいつも不完全……」All our stories are incomplete…

 

ここでは展覧会には当たり前にあるなにかが欠けている。それは「照明」だ。

 

来場者は入口で懐中電灯を取り、うす明かりの展示室内で、作品を見るために自ら光を当てることになる。「あたりまえ」を「あたりまえ」と片付けず、そもそもを問い直すことは、ガンダーの制作姿勢の特徴のひとつだ。来場者が「見たい」という気持ちを再確認するこの仕掛けは、通常の照明に照らされた展示では見逃してしまっていたものごとへの注目や、全体をもっとよく見たいとあちこちを照らすことによって、ひとりひとりが作品と一対一の親密な関係を作る機会となるだろう。

三宅一樹《YOGA―逆さの氣息》2006 木曽檜,桂 photo:早川宏一

ミズ・テツオ《Johann Sebastian Bach》1990 エッチング, 紙 photo:早川宏一

【ライアン・ガンダー】

1976年イギリス生まれのライアン・ガンダーは、コンセプチュアルアートの新しい地平をひらく作家として世界のアートシーンで注目を集めている。2019年クンストハレ・ベルンの大規模な個展をはじめ各国で展覧会が開催されるほか、ドクメンタ、ヴェネチア・ビエンナーレなどの国際展での展示、2010年セントラルパーク(ニューヨーク)における屋外彫刻などのパブリックアートも知られている。日本では2017年に国立国際美術館(大阪)の個展およびガンダーのキュレーションによる同館の収蔵品展が同時開催されて話題になった。

【information】

展覧会名 : ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展 『ストーリーはいつも不完全……』『色を想像する』

会期 : 2021年4月17日[土] – 6月24日[日]【会期延長】
会場 : 東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間 : 11:00-19:00(入場は 18:30 まで)
休館日 : 月曜日(5/3 は開館)
6月中の月曜日(7日、14日、21日)は来館分散のため臨時開館

入場料 : 一般 1000[800]円/大・高生 600[400]円/中学生以下無料
URLhttps://www.operacity.jp/ag/

 

 

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