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12
2024
EXHIBITION
INFO
竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション メトロポリタン美術館所蔵
東京国立近代美術館工芸館
2019.9.13 - 2019.12.08
日本の工芸に対する国際的な評価の高まりとともに、竹工芸特有の美しさと表現形態は世界的に関心を集めている。なかでもニューヨークのアビー夫妻が収集した日本の近現代の竹工芸作品は「アビー・コレクション」として知られている。
コレクションがメトロポリタン美術館に収蔵されるのを機に2017年から開催された展覧会「Japanese Bamboo Art: The Abbey Collection(日本の竹工芸:アビー ・コレクション)」は、47万人以上を動員し 大きな話題を呼んだ。
本展は、アビー・コレクションを日本で初めて紹介する里帰り展となる。
工芸館所蔵の近代工芸の名品とあわせて、アビー・コレクションから厳選した75件の竹工芸を展示し、その自由な造形美の魅力を改めて紹介していく。
飯塚小玕斎《白錆花籠 雲龍》1990年
藤塚松星《潮》1978年
飯塚琅玕斎《花籃 旅枕》1940年代前半
竹工芸の世界では、明治時代に花籠などを作る「籠師」と呼ばれる職人が台頭し、次第に「職人」から「作家」を目指すようになっていた。その活動の舞台となったのが、工芸品としての美しさや創意を競う美術展覧会だった。
大正から昭和にかけて、作家としての地位を確立して竹工芸を芸術の域にまで高めた飯塚琅玕斎、小玕斎父子は東京で活動していたが、彼らの故郷である栃木は、現在の重要無形文化財「竹工芸」保持者(いわゆる人間国宝)である勝城蒼鳳と藤沼昇をはじめ、著名な竹工芸家を多数輩出している。
また新潟県佐渡の本間一秋、秀昭父子、 愛知の鳥居一峯、静岡の長倉健一などが、新たな表現手法を積極的に取り入れ、多様な創作を繰り広げている。
藤沼昇《網代編盛籃 無双》2012年
勝城蒼鳳《花籃 起耕》1999年
本間秀昭《流紋》2014年
長倉健一《花入女(ひと)》2018年
三世早川尚古斎《堤梁花籃 舞蛙》1918 年
江戸時代末期から明治時代の初め、茶の文化の中心地であった大阪では、中国趣味や文人文化 の趣向が流行していた。「唐物(からもの)」と呼ばれる中国製の道具類が珍重され、そして 唐物を手本として日本国内でも唐物風の煎茶道具を作る籠師が増えていった。
大阪を中心とした煎茶愛好家たちの強力な支援を背景に、竹工芸は日本独自の編みの手法や様式を発展させていった。初代早川尚古斎にはじまる早川家や、多くの籠師を育てた初代和田和一斎、 その一門から出た初代田辺竹雲斎にはじまる田辺家、初代田辺竹雲斎の流れをくむ前田竹房斎 の家系など、技を高め合った名匠の下から多くのすぐれた子弟が育ち、現代に続く竹工芸の発展を大きく前進させた。
門田篁玉《維新》1981 年
四代田辺竹雲斎《舟形花籃 出帆》2015 年
大分県の別府は、明治時代後期から、別府温泉の発展と豊富で優良な竹林資源によって、竹細工の産業が盛んになっ たことで知られている。その伝統を背景に、別府では竹工技術者の養成が開始され、多くの名工が生まれた。
戦後の日展では、生野祥雲斎が竹素材の特質を活用した彫刻的な立体造形による表現を確立し、また竹工芸の分野で初の重要無形文化財保持者の認定を受けるなど、めざましい活躍をみせた。
その後も、門田二篁や生野徳三らが大分の竹工芸の発展を継承している。
生野徳三《洸》1993 年
本田聖流《舞》2000 年
The Abbey Collection,“Promised Gift of Diane and Arthur Abbey to The Metropolitan Museum of Art.”
Images© The Metropolitan Museum of Art
【information】
展覧会名 :竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵
会期:2019年9月13日(金)ー12月8日(日)
会場 :東京国立近代美術館工芸館
開館時間:午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日(火)、9月24日 (火)、10月15日(火)、11月5日(火)
入場料:一般900円(700円) 大学生500円(350円)高校生300円(200円)
中学生以下および、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。 *()内は20名以上の団体料。いずれも消費税込。 *割引・無料には入館の際、学生証・運転免許証など年齢のわかるもの、障害者手帳をご提示ください。
URL :https://www.momat.go.jp/cg/